はじめに
宿泊施設の運営を効率化するためには欠かせないPMS。しかし、これらの導入を考えている方の中には「どのようなシステムを選べばいいのか」「導入までどれくらいの期間がかかるのか」など、具体的なイメージが湧かない方も多いでしょう。本記事では、PMS導入前に知っておくべきポイントを解説します。
PMSの料金体系と業態に合った選び方
PMSは提供会社によって料金体系が異なります。また。宿泊施設の規模や業態によって適したシステムが変わるため、自社に合ったものを選ぶことが重要です。
料金体系の主な種類
月額制
・初期費用を抑えやすく、低コストで導入可能
・定期的なアップデートが提供され、常に最新の状態を維持
・クラウド型が多く、インターネット環境が必須
買い取り型
・初期費用は高めだが、長期的なランニングコストは抑えられる
・オンプレミス型が多く、自社でサーバーやネットワーク機器を用意する必要がある
・保守やアップデートが別途発生するケースが多い(サーバーの故障など)
※料金は宿泊施設の規模や業態、利用する機能の範囲によって変動します。また、部屋数やパソコン・ライセンス数のほか、システムの拡張性やサポートプランの内容によってもコストが変わるため、契約時に詳細を確認することが重要です。
業態別のPMS選定ポイント
・シティホテル、リゾートホテル:多機能なPMSが必要。レストラン管理やイベント予約機能が含まれるものが望ましい
・ビジネスホテル:シンプルで使いやすいシステムが向いている。OTA連携や自動チェックイン機能があると便利
・旅館、ゲストハウス:和室や部屋ごとの特別な条件に対応できるカスタマイズ性が重要
PMSの導入期間とスケジュール
PMSの導入から運用開始までは一定の期間が必要です。事前にスケジュールを把握し、スムーズに導入できるよう準備しましょう。
導入までの一般的な流れ
1.情報収集・比較検討(1~3ヶ月):各PMSの特徴や料金、批判を調査
2.契約締結(1ヶ月):導入するPMSを決定し、契約を締結
3.システム設定、データ移行(1~2ヶ月):客室情報、料金設定過去の予約データを移行
4.スタッフ研修、テスト運用(1ヶ月):スタッフへの操作指導を実施し、問題点を確認
5.本番運用開始:全システムを稼働し、運用開始
クラウド型のPMSは比較的短期間で導入可能ですが、オンプレミス型はハードウェアの準備などもあり、時間がかかることがあります。(会社によって変わりますので導入時期と期間は確認をしてすり合わせましょう)
クラウド型とオンプレミス型
PMSにはクラウド型とオンプレミス型があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
クラウド型の特徴
・初期コストが低く、導入しやすい
・インターネット環境があればどこでも利用可能
・アップデートが自動で適応される
・セキュリティはサービス提供会社に依存
・データのバックアップや保守が不要で運用負担が少ない
オンプレミス型の特徴
・自社内でサーバーを管理し、セキュリティ強化可能
・インターネットに依存せず、安定した運用ができる
・初期投資が大きく、専用のサーバー機器やネットワーク設備が必要
・メンテナンス費用や定期的なアップデートの手間が発生
中小規模の宿泊施設では、導入のしやすさとコストの面からクラウド型が主流ですが、企業ポリシーや安定運用を重視する場合はオンプレミス型を選ぶこともあります。
PMSと連携できる周辺システム
PMSは単体で運用するのではなく、さまざまなシステムと連携することでさらに利便性が向上します。
主な連携システム
・予約サイト(OTA):じゃらん、楽天トラベル、一休などと連携し、在庫管理を効率化
・POSシステム:レストランや売店の会計情報をPMSと統合
・会計ソフト:経理業務を自動化し、負担を軽減
・スマートロック:チェックイン後、自動でルームキーを発行
・顧客管理(CRM):顧客情報を蓄積し、マーケティングに活用
PMSを導入する際は、これらの連携システムが必要かどうかも検討しましょう。
まとめ
PMSの導入を成功させるためには、料金体系や業態に合ったシステム選定、導入スケジュールの把握、クラウド型とオンプレミス型の選択、さらには必要な周辺システムとの連携を考慮することが重要です。宿泊施設の運営効率を最大化し、ゲスト満足度を向上させるために、自社に最適なPMSを選びましょう



