昨今の企業経営において重要な要素となっているDX。
宿泊業界においても、DXの重要性が高まっています。
本稿では、ホテル・旅館におけるDXについて、
DXが必要とされている理由と、DXのメリットを5つ解説していきます。
目次
1.DXとは?
DX(Digital Transformation)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、デジタル技術を活用し、業務、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるよう自社の競争力を高めること」です。
デジタル技術を導入することを「デジタル化」と言うのに対し、DXはデジタル化したうえでその特性を生かし、収益につながる取り組みを継続していくことを指します。
2.なぜホテル・旅館でDXが必要とされるのか?
2-1.2025年の崖
日本において、DX機運が高まるきっかけとなったのが、
2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」とその中で報告された「2025年の崖」です。
2025年の崖とは、既存の基幹システムの老朽化・ブラックボックス化や、IT人材の不足といった課題を解決できない場合、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるというシナリオです。
逆に、2025年までにそれらの問題を改善することができれば、
2030年に実質GDP130兆円超の押上げを実現できるというシナリオも報告されています。
これは日本国内の企業についてのシナリオであり、宿泊業も例外ではありません。
DXが実現できるかどうかが、今後のホテル・旅館運営を左右するといっても過言ではないでしょう。
2-2.少子高齢化・コロナによる人手不足
万年人手不足ともいわれてきた宿泊業界ですが、
少子高齢化・新型コロナの影響により、近年さらに人手不足が深刻化しつつあります。
ポストコロナである現在、多くの宿泊施設において、インバウンド需要は回復してきているにもかかわらず、
コロナ渦で流出した分の人員を確保できておらず、人手不足はかつてないほど深刻な状況に陥っています。
2-3.過酷な勤務体系による高い離職率
24/7での運営体制が基本となる宿泊業界では、夜勤や早朝勤務が発生するため、どうしても過酷な勤務体系になりがちです。
そのため他の業界と比較し、宿泊業界は離職率が高い傾向があります。
高い離職率は、少子高齢化・コロナとあわせて、人手不足の大きな要因になっています。
2-4.デジタルディスラプション
デジタルディスラプションとは、新たなデジタルテクノロジーの登場により、新しい商品・サービスが生まれて既存の商品・サービスの価値が変化し、市場が破壊される現象を指す言葉です。
宿泊業においては、インターネット上のみで旅行業を展開するOTA(Online Travel Agent)と呼ばれる企業や、インターネットを活用した民泊であるAirbnbの登場により、既存の旅行会社が打撃を受けています。海外では大手旅行会社が倒産した事例もあり、大きな脅威となっています。
デジタルテクノロジーを利用した新しいもの・便利なものが次々と登場している世の中に対応するためには、積極的にデジタルテクノロジーの情報を収集することはもちろん、それらのテクノロジーに順応・連携できるシステムを構築しておく必要があります。
3.ホテル・旅館がDXに取り組む5つのメリット
3-1.自動化・省力化による人手不足の解消・人件費削減
宿泊業界は、他業界と比べても深刻な人手不足に悩まされており、なおかつ宿泊業にかかる経費のうち、人件費は約30%と他業界に比べ高い割合を占めています。
そのため、宿泊業界において、人手不足対策や人件費削減を目的としたデジタルテクノロジー活用は特に取り組む意義が高いと考えられます。
具体的には、オンライン予約システムや、自動掃除ロボット、アプリなどによる自動チェックイン・チェックアウトの導入などが考えられます。
実際に、それらデジタルテクノロジーを導入しDXに踏み出している宿泊施設も増えてきています。ただし、スタッフの削減によって顧客満足度に悪影響が出る場合も考えられますので、よく検討して導入する必要があります。
3-2.顧客満足度の向上
デジタルテクノロジーを利用して顧客データを蓄積し、そのデータを活用することで、「リピート客の誕生日情報を把握しサプライズ演出をする」「ターゲット層の好む食事や望む施設などの傾向を分析して提供サービスを改善する」など、顧客満足度の向上を図ることができます。
他にも、地域別やリピーター・休眠顧客別でリテンションメールを出し分けたりと、顧客の特性ごとに異なる集客アプローチも可能になります。
3-3.安全対策
デジタルテクノロジーは設備の管理・保守点検などの安全対策にも役立ちます。
設備の管理・保守点検は、人の目で行うと見落としがあったり、そもそも点検する人によって判断が異なっていたりと、ヒューマンエラーが起きやすいという課題があります。
そこで、例えば異常感知センサーの導入や、AIカメラの導入により、24時間365日危険を監視することができます。省力化による人件費の削減はもちろん、ヒューマンエラーがないため、より安全な状態を維持することが可能となります。
また、宿泊客の滞在中に起こり得る災害や急病、怪我などに対する安全への対策を講じていることを、外部へ発信することで、安心感を与え、利用促進につなげられるという効果も見込めます。
3-4.予約ミスの削減
宿泊予約にもデジタルテクノロジーを活用できます。
例えば、インターネットで予約・確認ができる予約管理システムを導入すれば、電話予約でありがちな、内容の行き違いというヒューマンエラーを削減することができます。
また、常に誰かが電話に出られるような体制を整えておく必要がなくなることで、人件費の削減にもつながります。
3-5.働きやすい環境づくり
過酷な勤務体系から、他業界と比較し離職率が高い傾向がある宿泊業界ですが、デジタルテクノロジーによる省力化により、従来の業務が大幅に改善・軽減され、従業員にとって働きやすい環境を整えることが可能になります。
人手不足の一要因となっている離職率の高を改善するのにも、DXは役立ちます。
4.まとめ
様々な業界で推進されているDXは、宿泊業界でも例外なく注目を集めています。
本稿では、ホテル・旅館のDXのメリットとして、以下の5つをあげました。
自動化・省力化による人手不足の解消・人件費削減
顧客満足度の向上
安全対策
予約ミスの削減
働きやすい環境づくり
インバウンド需要で急激に回復する宿泊業界は、
深刻な人手不足という、コロナ禍とはまた違った厳しい状況にあるといえるでしょう。
この厳しい状況を打破する手段の一つがDXです。
業務効率化による人手不足の解消・人件費の削減、さらには顧客満足度の向上も見込めるため、
積極的にDXを推進していくことが良いと考えられます。
宿泊施設の形態によっては、DXによるスタッフの削減が顧客満足度に悪影響を及ぼす場合も考えられるため、
DX推進は「積極的に」かつ、どのように行うかは「じっくりと」検討するようにしましょう。
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